理学療法士として働くサメ

理学療法士として勉強したことをまとめていきたいと思っています!

リンパ管の解剖 リンパ浮腫研修 E-LEARN(厚生労働省後援)の復習...③

 

リンパ浮腫 #リンパ管の解剖学 #リンパ浮腫研修 E-LEARN

理学療法 #リハビリ

 

お疲れ様です!フカヒレです!

 

今日はリンパ管の解剖についてです。

 

脈管系の流れ

血管やリンパ管の脈管系はどのような流れになっているのか?

下手ですが,図を入れてみたのでそれでイメージしながら...

 

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心臓から送り出された血液は

動脈細動脈毛細血管細静脈静脈

の流れで心臓に戻る。

 

②毛細血管や細動脈で血漿の約0.5%が漏れ出して1日に約20Lの組織液になる

 

③その90%(18L)は血管に再吸収される。

  残りの10%(2L)は毛細リンパ管に吸収されてリンパになる

  (血管から出た組織液リンパ管に入るとリンパ液になる)

 

④リンパはリンパ節を経て静脈に注がれる。

 

簡単に言うと...

毛細血管で漏れ出た組織液を血管で再吸収するが,吸収しきれない分を毛細リンパ管が回収して,静脈に戻す。

この流れが悪くなると浮腫む...リンパ浮腫ですね!

 

リンパ管の構造

盲端,網目で始まる毛細リンパ管は

集合リンパ管⇒数本のリンパ本幹⇒右リンパ本幹または胸管の順に集合して,静脈角(鎖骨下静脈と内頸静脈の合流部)に注がれた後に心臓に戻る。

 

皮膚では毛細リンパ管が真皮の乳頭層(真皮の表層で表皮に向かって多数の突起があり,栄養を提供している)の直下から始まり,皮下組織中を走る集合リンパ管に集合する。

 

集合リンパ管とリンパ本幹の多くは血管に沿って走っている

 

毛細リンパ管の構造

・一層の扁平な内皮細胞(リンパ管の内面を覆う細胞)からなる。

 

・内皮細胞には隙間がある。

 ⇒非吸収時,隣接する内皮細胞は狭い間隙をはさんで,互いに重なり合っている。内皮細胞間にいわゆるtight junctionはない。吸収が始まると,内皮細胞間隙はいろいろの広さに開く墨粒子などの有形粒子は勿論,吸収の激しい時には赤血球を通すのに充
分なだけ開く。出血すれば赤血球はリンパ管に吸収される。むしろリンパ管にのみ吸収されるといった方がよい。いいかえると,リンパに赤血球が含まれておれば,その流域に出血があることを意味する1)とのことです。

  隙間は液だけじゃなく,血管に吸収できない物質も通すみたいですね!だから癌細胞も通ってしまうのかな??メリット・デメリットですね...

 

・基底膜は不連続またはない。

 ⇒毛細血管と違って,基底膜の発達が悪く,連続した基底膜がない上,外膜細胞を欠く。これは組織液の吸収,特に有形粒子の吸収に適している1)とのこと。吸収の効率化ということですね!

 

・繋留フィラメントがある。

 ⇒周囲の結合組織につなぐ細線維の束があり,繋留フィラメント(anchoring filaments)として知られている。これは組織圧が高まった時にリンパ腔が圧平されないためのものと考えられている1)

 

・弁を持つ。(弁を持たない特殊なものもある)

 

・ヒト皮膚の毛細リンパ管にも弁がある。

 

集合リンパ管の構造

・弁と平滑筋を持つ

 ⇒平滑筋(内臓や血管壁に存在し,緊張を保ち,収縮することで臓器の働きを維持しているもので,よく皆さんの知っている筋肉とは違い不随意筋)は弁の部位を輪状に取り巻いています。

 

・リンパは能動的に輸送される。

 ⇒古くから弁と弁との間を1つの単位(1ymphangion, リンパ管分節)とみなしてきた。リンパ管の自発性収縮はこれを単位として分節的に中枢に伝わる。リンパ流量の増加,リンパ管内圧の上昇が自発性収縮が起こる要因と考えられている。リンパ管分節を越えて走る平滑筋があるという。リンパ管の自発性収縮は腸間膜リンパ管が観察の対象とされることが多く,ウシ,ヒツジ,モルモット,ラット,マウスに高頻度で認められているが,ネコ,イヌ,家兎では低い。発生頻度の低い動物はいづれも管璧における筋線維の発育が悪い。リンパ管の自発性収縮はヒトでも観察されていて,1分間における収縮は下肢のリンパ管で4-5回,胸管で1-4回といわれる。カニューレーションで胸管からリンパを採集していると,呼吸が止まると,腸の運動が止まると,直ちにリンパの流れが止まる。その時お腹をポンポンと軽く叩くだけでリンパはザーと流れる。四肢のリンパ管にカニューレーションすると,麻酔下では殆どリンパを採集できないが,指,足を軽く揉むだけでリンパは流れてくる。実際にこのような現象をみていると,リンパの流れは受動的なものが主体であると感じる。したがって,リンパの流れにはマッサージや筋肉運動が大切である1)とのこと。

 少し長いですね...簡単に言うと,能動的だが呼吸が止まるだけでリンパの流れは止まるため,深呼吸や運動はリンパを流すのに重要ということ!我々理学療法士の腕の見せ所です👍

 

まとめ

今回はリンパ管の構造やリンパの流れ方をまとめました。この解剖の理解だけでも,リンパ浮腫の原因の考え方やリンパ浮腫症例への運動の必要性がなんとなくわかるかなと思います。

ではまた👋

 

【参考・引用文献】

1)小谷正彦:リンパ管の7不思議,リンパ学,2012 Vol. 35 No. 2 6